映画「メタモルフォーゼの縁側」見た

ネタバレ。とおたくの隙自語。

 

漫画ももともと気になっていて、実写映画の発表があってキャスティングもなんだかいい感じだし見たいなぁとぼんやり思っていたところ、急に仕事の打ち合わせがぽっかり無い日ができたので、真昼間にひとりで行ってきた。

女子高生と老婦人がBLを通して友人関係になる話、っていう表面あらすじだけもともと知っていて、公開してすぐあたりに見てきた友達が「めちゃくちゃ良かった、初めてイベントに出る話で、〜」って話すのを聞いて、読み専じゃなくて描き手なのかぁ、ってそこで知ったくらいの事前知識。

おもしろかったしいい映画だったなぁ、と思いつつも見る前にハードル上げすぎちゃったのか、思ったよりもそこまでは響かなかったような感じがして、それはなんでなのか文章にしてみたら自分でも納得できるのかも、と思って書く。文章にすることで噛みしめられて見た直後より良い感情になりそうな感もある。

 

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私がBLに触れたのは中学生のときで、家に来たてのPCで好きな漫画を検索してたら辿り着いた同人サイトが最初か、図書館にあったBL小説が先か、本屋さんに平積みしてあった二次創作アンソロ雑誌が先か。本屋さんで唐突にそれに出会った体験を覚えているので、きっと同じようにBLにぶち当たった女の子たちがたくさんいるのだろうな、とかいうのを思い出した雪さんが初めて本屋さんでBL漫画に出会うシーン。

なんだかめちゃくちゃ気になるけど、なんだか悪いもののような気がして、家族にも周りにもバレてはならない…と思っていたから、無邪気な雪さんに対して、隠したいうららちゃんの態度が際立ってつらい、身に覚えがありすぎて。この人はイケる口か、それとも隠す相手か、って探り合ってたよなぁ…たぶんめちゃくちゃ稚拙な探り方だっただろうな中学生時代。楽しそうだな。当時は必死だったんだけど。

芦田愛菜ちゃん、いや芦田愛菜さん!の、動きとか喋り方が、生々しく中学生のころを思い起こすのには十分でしたね。ほんとうに上手だなぁ。BL漫画詰め込んだ重たいバッグを前に抱えて持つ姿とか、歩き方走り方、お辞儀の仕方とか。話し方とか。あー、こんな感じだった、の瞬間がいっぱいあってきゅっとなったな。

 

そんなかんじでBLとの出会い付近を思い出した前半、からの、初めてのイベントにサークル参加するふたりの後半。

「これを印刷して売る……正気か?」的な台詞、同人女のみんなたち一度は(もしくは毎回)思うよね、と思って胸にキた。一席空けた隣のお姉さんは吹き出していた。わかるよ。

そんで光石研さん、印刷屋さんか〜!オフセット印刷〜!やめて〜!!って逃げ出したい気持ちになったりした。けど、あのクラフト紙から印刷された本を出すシーン、思わず涙出てしまったので、あれをやるためには印刷所に頼まないといけないもんな。隣のお姉さんも泣いていた。

イベント当日の朝にコンビニでコピーしてスペースで折ってホッチキス留めて……みたいなのを見たらまたすごい感情になりそうだけど、また別の話になっちゃうもんな……同人女の活動思い出話はいくらでも見たい聞きたい。

 

BL好きになって、同人やるようになって、楽しいことがむちゃくちゃあるけど、泣きたいこともたくさんあって、そういう泣きたいこともうららちゃんの身に起こっていくのがよかったしつらかったな。映画の中にリアルとファンタジーが両方あって、そのバランス、さじ加減が観たあとすぐに、めちゃくちゃよかった!!!;;って感想に繋がらなかったのかも。ちょっと咀嚼が必要だった。咀嚼中、今まだ。

あと、私が漫画を描いたことがないのも響き度合いに大きく影響してるかもな〜と思った。うららちゃんはえらい。絵が描けなさすぎて早々に諦めてしまった自分からすると、漫画を描き切るうららちゃんはほんとうにすごい。表紙の水彩とか、雪さんが「きれいね」って言う感想に疑いもたないもん。最初に本屋さんで『君のことだけ見ていたい』を手に取ったきっかけと同じ感想なのもいい。物語だなという感じだけど。全体的に脚本の繋がりがわかりやすくて、そこもファンタジーとか物語だなって印象を受けるのかも。実写でリアルなことをやってるのと、出来事とか台詞の流れのファンタジーさの具合。漫画だとそんなに気にならないのかも、とか。

 

あと、本筋ではまったくないけど、雪さんが最初に『君のことだけ見ていたい』を読み出したとき、咲良くんどうか攻めであれ…!!!と思ったらあれよあれよと腰の細い美人に描かれていき、受けか〜!ってなった。恋する咲良くん視点から始まったので、恋する攻め好きとしては咲良くん攻めがよかったんだよな。うららちゃんと雪さんとはカプ観合わんな、と(基本マイナーカプの道を歩いてきたから然もありなん)。

雪さんの書いた、咲良の文字めちゃくちゃよかったな。推しカプの名前を習字でしたためるの、いいですね。私は字がやばいのでむり。

高橋恭平くんもよかったですね!あんないいやつ!!でも幼なじみのめちゃくちゃいいやつでも初めて出す同人誌を買われたくない…いいやつだけど…めちゃくちゃいいやつだけど……彼女に振られて泣いちゃうのめちゃくちゃかわいい。彼女もいい子だったよね、えりちゃん?えりちゃんもナチュラルいい子なんだろうな、学校であんなに大っぴらBL漫画振りかざしていたらヤメテー!!!ってはなっちゃうけど。BLわかんなくて…ってレジに持ってくるチョイスが『世界一初恋』なところ、絶妙だなって思いました。なんとなく。2、3周回ったらうららちゃんとえりちゃんいい友達になれたりするのかな。好きなBLは違いそうだけど。

 

原作買ったので読みます!